THE VOLVO
LIFE JOURNAL

犬と堪能するクラシックカー・ショー!IN SWEDEN 2019/07/10

ドック・ジャーナリスト 藤田さんの北欧、犬暮らし事情
presented by INUMAGAZINE

クラシックカーショー



スウェーデンにおけるクラシックカーショーは犬好きの格好の青空イベントだと前回お話しした。車に特に興味がなくとも、クラシックカーショーは歴史的な車のデザインを見れるという面でも実はとても楽しい。犬連れが集まるから、犬を見る楽しみも。モーターショーには綺麗なお姉さんがミニスカートで彩ってくれているけれど、カントリーサイドで開催されるクラシックカーショーなら定めし地元の犬が!

私もラッコで犬連れ。やってきたのは、ノルウェーの国境近く。オールイェング市の自治体が地元のクラシックカー・クラブと共同で開催している超ローカルなショーだ。出陳の対象となる車はクラシックカーであればなんでもいいのだが、今回は特にボルボのスウェーデンPVクラブアマゾン・クラブを招聘してのショー。だからたくさんの古いボルボ・カーを見ることができた。やはり地元スウェーデン、ボルボなしには語れない!



藤田りか子

藤田りか子

ドッグ・ジャーナリスト。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にて、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと、ラブラドール・レトリーバーのアシカと住む。人生のほぼ半分スウェーデン暮らし。アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。著者に「最新世界の犬種図鑑(誠文堂新光社刊)」など多数。新しい犬雑誌「Terra Canina(テラカニーナ)」編集及び執筆者。



ボルボ・アマゾンがたくさん!

ボルボのレトロカーといえばアマゾン!50年代の中頃から1970年代にかけて生産された乗用車。そしてアマゾン(そしてPV544)こそ、ボルボの安全性の歴史的象徴とも言える。1959年に世界初の3点式シートベルトがPV544に装着され、同年アマゾン122には標準装着された。今回のショーでは、この車種の出陳が一番多かった。ただしスウェーデンではショーに行かずとも、今でも路上でよく出会う。人気は根強い。交通局の統計によると現在なんと約15000台のアマゾンが現役で走っているとのこと。



ボルボ・アマゾン121(ボディはP130)



ボルボ・アマゾン121(ボディはP130)。
この写真のタイプは1960年代後半のモデル。
アマゾン121は60年代のスウェーデンにおける最も一般的なファミリーカー。



犬の人形

車内にはもちろん犬!60年代のグッズだ。
出陳者のこういう凝りかたがニクい。
この犬の人形(おそらくダックスフンド)は、車のインテリアとして60年代にとてもポピュラーに。振動を受けるたびに首が上下にフラフラと揺れる。題して「頷きドッグ」。クラッシック・カーマニアの店でオリジナルがたまに売られている。



アマゾン121(ボディはP130)

これもアマゾン121(ボディはP130)。 60年代後半のモデル。



アマゾン121



アマゾン121。
いかにもドッグ・トレーニング・フリークなお姉さんと一緒にいるのはスタフォードシャー・ブル・テリア。ヨーロッパでは人気、庶民的な犬種。車種と犬種のマッチがよろしい。



60年代初期のアマゾン121



左:60年代初期のアマゾン121。
このタイプのアマゾンは車の色に関係なくハブキャップ(ホイールを固定する部品)に赤のマークが。ツードアのファミリーカー。アマゾンの中でも特に人気の車。
右:B18 というのはエンジンの種類。それ以前のB16型よりもさらにパワーアップ。



リアドア



このモデルは最初のアマゾンとそれほど変わってないのだが、リアドアのハンドルがチェンジ。



60年代後期の頃のアマゾン121(ボディはP130)



60年代後期の頃のアマゾン121(ボディはP130)。



アマゾン121(ボディはP120)



こんな風にスウェーデンの往来でアマゾン121(ボディはP120)に出会うことは珍しくないのだ。クラシックカーに乗っている人に手を振るとたいて振り返してくれる。やっぱり自分の車、誇らしいもんね。



アマゾンGT123



大衆的なアマゾンではあるが、このアマゾンGT123はスポーツカータイプの車。



アマゾンGT123



非常にレアでありそれゆえ希少価値が高い。
普通のスタンダードタイプのアマゾンよりもエンジンはパワフル。ラリーよりもスポーツ・ドライビング、レーシング用として好まれた。

そしてダッシュボードの上に必ずタコメーターが標準装備として備わっているのもこの車の特徴。スポーツカーだけに地図を置くラックもダッシュボードに備えられた。



アマゾンからボルボの典型的エステートカーへ



アマゾン・エステート



生産台数が少なかったため、アマゾンの中でも現在非常にレアなクラシックカー、アマゾン・エステート。
エステート・カーといえば、ボルボのトレードマークのようなものだが、これはその最初のタイプ。もちろんファミリーカー。1962年に登場。これまた庶民的なフォックステリア君がモデルになってくれた。



ジャーマン・シェパード

60年代といえば、スウェーデンではジャーマン・シェパードが圧倒的な人気となった。このようなファミリー・エステート車の登場はシェパードのような大型犬愛好家にとって非常に役立ったことだろう。



B20というエンブレム

B20というエンブレムに注目。エンジンはこちらではB20型。さらにパワフル。
実はこのようなエンブレム・パーツもクラシックカーマニアにとってはとても大事なディテール。ネットで買うこともできる。生き物相手の犬愛好家にはやや遠い世界かも!



典型的なボルボのエステート・カー、ボルボ245



そしてアマゾン・エステートからこう進化した!
典型的なボルボのエステート・カー、ボルボ245。80年代エステートカーの中で最も人気を博した。スウェーデンのアイコンとも呼ばれている。まだクラシックカーの殿堂入りを果たしていないものもあるが、すでにマニアのコレクションの一つになりつつある。
この車、240シリーズなのだが、245と呼ばれるのは、最後の数字5がファイブドアという意味だから。そうリアドアが5つ目のドア。そしてこのドアを開けると荷台の悠々スペースが広がっている!だから今でも犬の飼い主の間では、とても需要の高い車だ。
ちなみに私が初めてスウェーデンで飼った犬はこの写真のモデル犬と同様レオンベルガー、そして初めて買った中古車はボルボ245であったのだ!時は90年代…。そういえば、最新モデルのXC90はラグジュアリーでありながら荷室も広い!ボルボが犬の飼い主のニーズに応えてくれたのかも?



ボルボPV



PVと呼ばれる乗用車



こちらはボルボのいわゆるPVと呼ばれる乗用車。
正式な名称はPV444だが、スウェーデンではPVといえばこの車(とPV544)をさすことになる。アマゾンよりも一つ前の車。1946年から60年代に入る少し前まで生産されていた。なので見かけもアマゾンよりさらにレトロ調。そしてボルボ初の大衆カーだ。PVというのはスウェーデン語Personvagnar(乗用車)の略。
ちなみに車のトップに突き出ているのはウィンカー。フィックスライトとも呼ばれ、PV444 Bモデル(1950年)において導入された非常にユニークな特徴(しかしこのタイプの方向指示器は2年後に法律によって廃止となった)。



PV444



後ろに二つ窓がある。ただしこれは1955年までのもの。



PV544



PV444の次に出たのがPV544。
すでにアマゾンが発売されていたのだが、アマゾンよりも安価ということで、60年代やはりとても一般的な車であった。



VOLVO 544 Sport



こちらはPV544でも超レア物!
VOLVO 544 Sportと呼ばれるタイプであり、名前の通り、スポーツカー。というかボルボが世界に誇るスポーツカーの一つともなった。1965年サファリラリーで優勝したのがまさにこのタイプ。強力なエンジンを搭載し、60年代ラリーの世界において大活躍した。ただし多くがレースで壊され、それゆえに今この車は非常に希少となった。
そしてモデルとして立ってくれたのは、スポーツカーにふさわしい、犬世界のスーパースポーツドッグ、ボーダーコリー!



Thanks to Mats Heder

さて今回は、犬よりもボルボ・クラシックカーのお話が中心になったのだが、この取材と車のディテールについてヘルプをしてくれたのは、クラシックカーのコレクター、モーターヒストリー家でもあり機械工学博士のマッツ・へダーさん。



インタビュー



そして取材中、主催者のパブリックショーでインタビューを受けた。


何をしているのですか、という質問にマッツさん、
「日本のINU MAGAZINE(イヌマガジン)でのボルボ・カー・ジャパンの記事のための取材です」
と答えると、会場から一斉に拍手!


ボルボ・ヒストリーでボルボの歴代モデルをご覧いただけます。



文と写真:藤田りか子