森の中で犬との雪遊び、そしてソーセージ焼き 2022/01/26
犬も歩けば森に当たる! 藤田りか子の“北欧”犬通信 vol.9

ゆきやこんこ、あられやこんこ
降っても降っても、まだ降りやまぬ
犬は喜び、庭かけまわり…
誰もがご存じのこの童謡、文部省唱歌 「雪」から。歌詞通り、日本のみならず世界のほとんどの犬は雪が好きですね。雨がしとしとと降っていれば、「やだ〜」とばかり玄関からそそくさ部屋へ引っ込んでしまう犬も、雪となれば、それもサラサラの雪であれば「せいの!」とばかり、喜び勇んで外へ飛び出します。雪の上を駆けまわるのは最高!と言っているのが今にも聞こえてきそうです。もし犬がオリンピックを開催するとしたら、絶対に、冬季オリンピックしか行わないと思います!犬は暑さに弱い動物です。
さて、スウェーデンの冬といえば「雪とオーロラ」を想像する人が多いと思います。しかし中部スウェーデンだと降っては溶けてを繰り返すので、冬でもそれほど雪が積もらないときがあります。それゆえに、雪の到来は私と犬たちにとってもウェルカムです。以前も述べましたが、冬は日が短く、暗い日々が続きます。しかし雪が積もれば、世の中が一気にライトアップ。枯れた木、泥まみれの落ち葉、黒っぽいアスファルト、これらどんよりしたグレーの景色はすべて真っ白な雪に覆い尽くされます。環境だけではなく気持ちまで明るくなります。星がでているような夜であれば、森の散歩もヘッドライトなしで歩くことができます。
雪は犬と人にとっても体を鍛えるいい機会
私は寒がりでした。よって冬はできるだけ外に出たくない、と思っていました。にもかかわらず何故かスウェーデンという最北の国にたまたま暮らすようなりました。そして住んでいるうちに、寒さもそう悪くもないと思うようになったのです。暑がりの人がよくこんなふうに言いますよね。
「寒ければ動いていれば、あたたかくなる。でも暑いときは服をぬぐ他に何もできない。だから寒い方がいい」
この言い分は日本に住んでいた頃は全く理解できませんでした。しかし、スウェーデンの気候に慣れたのでしょう。気がついたら、自分がまさにそういう暑がりになっていました。いや、もしかしてクリームソースたっぷりのスウェーデン料理を食べ続け、皮下脂肪が厚くなったおかげもあるかもしれません。

雪がつもり天気がよければ、家族総出で犬たちと森遊びを楽しむ

皆が森に集まった。これから散歩。散歩から帰ってからバーベキューできるようにすでにセットをしておく。
何はともあれ、北欧に住んでいるのなら、寒さに強い方が絶対に人生得です。雪が積もれば、犬と同じように喜んで外に飛び出すようにもなりました。雪の中で飛び跳ねている限り、たとえマイナス15℃でも、へっちゃら!もちろん犬は生まれたままの姿、「犬用コート」を着せることもありません。時には熱くなりすぎて雪を途中で食べているほど。そうして体を冷やしています。
雪の中で犬を遊ばせることには、犬を活発にさせるというメリットのみならず、筋力を鍛えるという利点もあります。何しろ、雪の上を走るのは、かなりのエネルギーがいります。通常は除雪車が通ったあとの道を犬と歩くのですが、わざと森の奥にはいって雪が深いところに犬を連れ出すこともあります。そこで雪玉を投げたり、木の棒を投げたり。犬の辞書には明らかに「面倒くさい」という言葉は見当たらないようです。どんなに苦労を伴っても、雪に埋もれながら、除雪車のごとく彼らは勢いよく走り回ります。


雪が積もると、いつにも増して犬たちのはっちゃけ度が高くなる!
焚き火とソーセージとフィーカ
雪の中で犬たちとさんざん遊んだ後は、おまちかね、ピクニックです。つまり、焚き火をして、そこでソーセージを焼きそしてコーヒーを飲む。フィーカですね。森で火を起こすのは、やはり冬ならでは。夏は乾燥しすぎているときもあり森林火災につながるので、焚き火が禁じられていることもあります。休日に犬友だちと森の散歩にでるときはたまにこういうお楽しみを設けます。
「だれか、斧持ってきている?」
「わたし、薪もってきているのよ。でもマッチわすれちゃった」
「あ、あたしが持っている!」
とガヤガヤやっているうちに、誰が何をすべきか役割分担がきまり、焚き火ができあがります。子供の頃ボーイスカウトに属していた人はスウェーデンには多く、アウトドアライフとチームワークは慣れたもの。みなさっさと動きます。
ソーセージを焼くときは、急いで火にいれてはいけません。火が十分に熱くなるのを待ちます。その間、ゆっくりとコーヒーをすすりながら、世間話やもちろん犬の話などを飽きずにぺちゃぺちゃと。水筒に温かいコーヒーを入れて持参するのは、スウェーデンではこういう集まりの際の「掟」みたいなものですね。焚き火の周りの雪がみるみるうちに溶けていきます。早くソーセージを焼きたいな〜…。
ソーセージを焼くときは、そのへんの生えている木から長くて細い枝を折って、串として使います。枝の先端は、ナイフで削り尖らせます。パッケージをビリリと破り、串に太いソーセージを刺しいよいよ火にくべる。と、犬たちがワサワサと寄ってくるものです。きっと誰かがくれる、誰かが食べ物を地面に落とす。そんな期待を持ちながら、彼らも焚き火のまわりを陣取ります。


長い枝にソーセージを突き刺して、焚き火で焼く。スウェーデンの森の過ごし方、定番アクティビティ!
ソーセージを頬張りながら、たいてい誰か一人が
「おかげで、今日はこれでもう犬を散歩する必要がないねー」
と言うものです。すると「ほんと、ほんと」と周りの人は心からの同意を示します。皆が満足している証拠でもありますね!散歩とピクニックのあとは、犬達もへとへと。家に帰れば暖炉のそばで、コンコンと眠りこけます。
雪の明るさと犬遊び。長い北欧の冬もなかなか楽しいものです。

散歩から帰ってきたら、暖炉の前でゴロリ!このときばかりは猫のように暖を好む

藤田りか子
ドッグ・ライター、犬学セミナー講師。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコとラブラドール・レトリーバーのアシカと住む。人生の半分スウェーデン暮らし。趣味はドッグスポーツ。ノーズワークとガンドッグ・フィールド・トライアルのコンペティター。アメリカ・オレゴン州立大学を経てスウェーデン農業科学大学野生動物管理学部卒業。生物学修士(M.Sc)。犬のブログサイト「犬曰く」運営者。主な著書に「最新世界の犬種大図鑑」(誠文堂新光社)など。
文と写真:藤田りか子
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