スウェーデンにも春がある? 2022/03/23
犬も歩けば森に当たる! 藤田りか子の“北欧”犬通信 vol.11

光を取り戻す、それがスウェーデンの春!
「日本にもスウェーデンのように四季があるんですか?」
と、スウェーデンで聞かれることがあります。いやいや、もうそれはあるどころか、四季は日本の自然美の象徴でもあります。それでつい
「スウェーデンこそ四季があるんですか」
と聞き返しそうになったりします。というのも、こと春に関すると、スウェーデンではそれがかなりうやむやな感じなのです。
4月とはいえ、雪が降ることもあります。ポカポカしてきた、嬉しいなぁと思いきや翌日は窓の外をみるといきなり銀世界になっていたりします。今、一体冬なんだろうか、春なんだろうか、悩んでいるうちに、5月ぐらいから気温はぐんぐん上がります。つまり、春をろくろく味わえずに、夏が一気にやってくるのです。というわけでスウェーデンには四季はないけど、三季はある!というのは私の持論です。
春が季節としてうやむやとはいえ、3月ともなれば日が延びてきます。あの暗黒状態から抜け出すことができるので(こちらの記事も参考に!)、たとえ少々寒くても気持ちは晴れ晴れとしてきます。気温の上昇ではなく、もしかして光を取り戻すことがスウェーデン流の「春」の定義なのかもしれません。仕事から家に帰っても、まだ外が明るい。こんなことは2週間前にはなかった!友人から
「これから、犬のトレーニングしない?」
と電話がかかってくると、ああ、また私たちは「またあのキラキラとしたシーズンに突入していくのだ!」と気持ちの高揚を感じるものです。3月の初旬からアフター5のドッグトレーニングの再開です。犬好き友人とまた楽しく趣味に燃える日々が始まります。
春といえばポスク(イースター)!
アフター5の犬のトレーニング再開は私にとっての「春指標」でもありますが、もうひとつ、スウェーデンの春といえば!の行事があります。イースターホリデーですね。日本ではまだあまり馴染みがないかもしれません。イースターとは復活祭を意味します。十字架にかけられた死んだキリストが3日目に復活したことを記念する日で、土日を挟み四日間の連休となります。キリストの復活と同時に、この季節だからこそ春の蘇りも祝います。スウェーデンではイースターではなく、ポスク(påsk)といいます。ただしポスクは、クリスマスのように特にこの日と決められていません。3月21日以降の最初の満月が出てから、最初の日曜日。よって年によって変わり、毎年カレンダーでチェックしないといつなのかわかりません。
今年(2022年)のポスクは、4月17日。よってその前後の15日から18日まで休暇。クリスマスほどとは言いませんが、大きな祝日です。ちなみにスウェーデンの3大休暇は、このポスク、ミッドサマー(夏至祭)、そしてクリスマスともいえるでしょう。いずれの機会も家族や親戚が集まり、スウェーデン伝統に従った食事をしながらお祝い。ポスクでは卵と卵料理をメインに食べます。とはいえ、テーブルに並べられるお料理や飲み物は、実はあまりクリスマスやミッドサマーと変わらないのですが…、またそのお話はいずれの機会に!
ポスクのお料理は、卵を材料にすることに特徴づけられると述べましたが、卵はポスクのシンボルなんですね。卵のみならずそこから生まれるひよこもポスクの象徴です。ちなみにアメリカではうさぎがそれに相当します。なぜ卵やウサギなのか?その理由は諸説ありますが、イエス・キリストの復活だから、命の始まりを表現したい。それで卵がつかわれるようになったとのこと。ウサギ(子沢山でもある)の場合、豊穣の象徴ゆえ。それになんといっても春!自然で生命が誕生する時期です。
ポスク間近になるとスウェーデンではあちこちに卵やひよこをモチーフとしたものを飾られます。もちろんお店にもそのグッズがたくさん並びます。卵の形をしたチョコレートは定番、ポスクエッグ(イースターエッグ)にキャンディやチョコレートを入れたポスクゴーディス(Påskgodis)もあちこちで売られます。

ポスクカード
犬好きは何をもってポスクを祝うのかというと、私の場合は愛犬の写真でポスクカードを作り、「Glad påsk! (イースターおめでとう!)」という言葉を添えてSNSにそれを投稿します。そうそう、クリスマスカード同様にポスクカードというのもあるのですよ!ちなみにこれが普通に見られるポスクのカードです。


愛犬バージョンのカードを作る場合も、できるだけポスク風に仕立てます。大事なのはひよこの色でもある黄色を入れることですね。そしてモチーフにも卵やひよこ(あるいはニワトリ)を取り入れるとよりポスクらしくなります。以下に私が過去に作ったポスクカードを紹介します。

ポスクの定番ともいえるチョコレートやキャンディが詰まっているポスクエッグを愛犬に投げてキャッチさせている図。スウェーデンではよくあることですが、春とはいえこのようにポスクの日に雪がどっさり降ってしまうこともあるのです。

ポスクカードはユーモアも交えて。「イースターエッグと言ってごらん」と私。ラッコからは「イート・エッグ!(エッグを食べる)」としか返してこない。当時まだ4ヶ月齢のラッコ。口からよだれが…!やはり背景には雪が見えますね!

なんとしてもポスクカードには卵を登場させたいのです。というわけで、ラッコに卵を咥えてもらおうと思ったのですが、割って食べてしまい(笑)….。そこでおたまに卵を置いてくわえさせてみました。隣でアシカが黄色いおもちゃをくわえて、ポスクらしい黄色の演出をしています。春らしい日差しではありましたが、この時もやはり背景に雪が!
今年はどんなポスクカードを愛犬たちと作るか、まだこの原稿を書いている時点では決めてません。そのときになってなにかよいインスピレーションがわくといいのですが!

藤田りか子
ドッグ・ライター、犬学セミナー講師。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコとラブラドール・レトリーバーのアシカと住む。人生の半分スウェーデン暮らし。趣味はドッグスポーツ。ノーズワークとガンドッグ・フィールド・トライアルのコンペティター。アメリカ・オレゴン州立大学を経てスウェーデン農業科学大学野生動物管理学部卒業。生物学修士(M.Sc)。犬のブログサイト「犬曰く」運営者。主な著書に「最新世界の犬種大図鑑」(誠文堂新光社)など。
文と写真:藤田りか子
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