THE VOLVO
LIFE JOURNAL

理想のプレミアムエステートボルボV90で味わう、上質なスカンジナビアデザインと乗り味。 2019/10/23

北欧エステートで巡る金沢のモダンクラシック
by LEVOLANT

グランドツーリングカーとしての素質も併せ持つ、ボルボの上位エステート「V90 D4」を駆り、東京から北陸の金沢まで、ロングドライブへと繰り出した。

「伝統」と「いま」が共存する金沢の文化は、新世代ボルボにも通じるものがあり、様々なシーンでV90の魅力を感じることができた。



V90 D4

「新しい文化の創造」を掲げ'04年に開館 した金沢21世紀美術館。
○10:00~18:00 (金・土曜は20:00まで)/月曜定休(休日の場合は直後の平日)、年末年始/石川県金沢市広坂1-2-1/☎076-220-2800



GTであり上質なエステート

どこか遠くへいつでも連れていってくれるようなクルマがいい。もちろんドライバーは自分なわけだから、連れていってもらうというのは語弊があるけれど、そういう気分にさせてくれるクルマが欲しいと思うことがある。そこにGT=グランドツーリングカーに求められる本質があった。

GTというと恐らく多くの人が2ドアのスポーツタイプを思い出す。それは間違っていると思う。その昔、たまたま最初に登場したGTがそうであったというだけで、GTの本質はあくまでも、“遠くへ連れていってくれる予感”がそのクルマにあるか否かにこそある。

ヨーロッパにおいてGTの基本といえばステーションワゴンだ。いや、GTという名の由来が英国にあるのだから、エステートと呼ぶほうがふさわしいだろう。速度域の高い欧州の高速道路網においては背の低いワゴンがSUVブームの今なお重宝されている。

家族分の荷物を積みこみ、皆がゆったり座りつつ、安定した高速クルーズを長距離に渡って楽しむためには、やはり物理の法則に従って背の低いクルマのほうが有利というものだ。ひとり、ふたりのドライブでもそれは同じ。TPOを選ばずに使えてなお、長距離エクスプレスであること。それがエステートの本質的な魅力であろう。

もっとも、残念ながらというべきか。そういったエステートの選択肢が世の中に溢れているかというと、実はそうでもなくなった。

特にアッパーミドルクラスの、真の意味で上質なエステート&グランドツアラーは、ひと昔前に比べてめっきりその数を減らしている。

そのうえ、リアセクションを上手に使って伸びやかさを実現するというアッパーミドルワゴンにしかできないスタイリングを持ったエステートとなると、ドイツプレミアム勢にさえ、もはやほとんど見当たらなくなってしまった。そういう意味で真のエステート好き、グランドツアラー好きにとっての救世主ともいうべき存在が、ボルボV90であると言っていい。



V90 D4ノルディック・エディション

旅の相棒に選んだのは特別限定車のV90 D4ノルディック・エディション。今回のオニキスブラックメタリックの他に2色用意される。



V90の魅力は沢山あるけれど、個人的にはスタイルが気に入っている。このクルマには最近のワゴンや弟分のV60をも凌ぐ、伸びやかなエステートデザインが今もちゃんと備わっているからだ。

シンプルなライン構成にあって、ルーフとショルダーに挟まれた両サイド3枚ずつのウィンドーが、薄くリアに向かって伸びている。これぞ、ステーションワゴンらしさである。眺めていれば、まだ見ぬどこか遠くの景色や風物を目当てに、路面を舐めるように突き進むイメージが自然と湧いてくる。

遠くに行ってみようじゃないか。目的地に選んだのは金沢。新幹線が開通して便利になった今だからこそ、あえてクルマで行く価値があるのだと思う。目的のその前にプロセスをまずは楽しみつつ、ドライビング中の、自ら目的地へ辿り着くのだという気持ちが旅の期待値を膨らませ、出会いの歓びを増幅してくれることを願って。



長い移動で気づかされるV90の快適さ

はたしてV90のツアラーぶりは、そのエステートらしい低く伸びやかなスタイリングから想像するにふさわしいレベルにあった。

今回、金沢へ向かうドライブのパートナーとなったのは、特別限定車のV90D4ノルディック・エディションで、オニキス・ブラック・メタリックの外装とマルーン・ブラウンの内装の組み合わせが相当にシックな一台だった。最近のボルボのインテリアは、見映え質感ともにかなりのレベルに達しており、スカンジナビアデザインらしく長時間過ごしたくなるプライベート空間であると断言していい。

グランドツーリングカーとして合格かどうかを決める鍵は、高速でドライブ中にいかに心と手足がリラックスできるかに掛かっている。理想は、クルマが道をよく知っていて、必要最小限の操作で坦々と走ってくれること。そのためには、乗り心地や適度な静粛性はもちろんのこと、手足の操作量や頭の移動量、背中や尻のズレが、できるだけ少ないほうが良い。

V90で良かったのはまず、頭、つまりは視線がぶれないということ。視界がよく開けており、ボディやミラーの見え方がごく自然で、車線に沿って走らせやすい。計器類の配置はよく練られており、大きなモニターは見やすく、そしてステアリングホイールの大きさや握りの太さも適切で持ち易いから、結果的に頭がさほど動かず、上半身が常にリラックスできている。

足元も重要だ。低回転域からしっかりと使えるビッグトルクにより、アクセルペダルの操作量を最低限に抑えることができる。もちろん、パイロットアシストを使ってしまえばさらにラクだが、それとてスムーズな走行は低回転域におけるトルクの大きさ次第となるわけだから、やはりディーゼルターボの力強さは高速ドライブ向きということだろう。



金沢の街とV90 D4ノルディック・エディション

左上:石川県の伝統芸能「加賀宝生」で使用する楽器「鼓」をイメージして建てたれた金沢駅の鼓門。
右上:尾山寺社は藩祖を祀った神社で、主祭神は加賀藩の前田利家。◯石川県金沢市尾山町11-1/☎076-231-7210
左下:オニキス・ブラック・メタリックにはマルーン・ブラウンの内装色が採用されシックで上質な雰囲気を醸す。
右下:クルマの四隅が把握しやすいので、細い道でも安心して通り抜けることができた



金沢で何をするか。ドライブを楽しみつつ、事前のプランをひとつひとつ思い出す。快適な環境だからこそできる、それはひとつの贅沢だ。関東と関西がちょうどぶつかりあう加賀の国には、衣食住を通じて、古き良き時代の名残を今に活かしつつ、新しい試みに満ちた風物が多く存在する。エステートという、ある意味、歴史あるGTをモダンに再定義したボルボのV90で訪ねるにはぴったりの場所じゃないか、とひとり悦に入りながらのドライブもまた楽しい。

加賀百万石前田家ゆかりの神社、受け継がれ進化した伝統風物の数々、新たな文化の発進拠点に、北陸の海山幸をアレンジした食、開湯千三百年もの歴史をもつ温泉、などなど、北陸の今と昔をV90とともに満喫し、さあ東京へ再び帰ろうか、という朝のことだった。



ボルボデザインと金沢の街並み

スウェーデンの自然やライフスタイルからインスピレーションを受けたボルボデザインは、金沢の街並みがよく似合う。



金沢の情緒にV90はよく似合う 。旅の途中、何度も実感した。

真っ直ぐ帰ったんじゃツマラナイ。どこかに寄り道していこう。できれば風光明媚なドライビングルートの先に、旨い地物のひとつでもあれば……。思い立ったのが、長野県の美ヶ原だった。
旅の帰りに高原の道を楽しむ。そんな芸当をすんなりこなせてしまうあたり、よくできたグランドツーリングカーの証というべきだ。



旅の帰りの高原の道

上:金沢から東京への帰り道、ダイナミックな眺望が臨める美ヶ原高原思い出の丘へ寄り道をした。
左下:河北郡津幡町にあるひまわり村。見頃の7月下旬~8月中旬には、約35万本のひまわりが咲き誇る。
中下:京都に居を構えるモータージャーナリスト、西川淳氏が旅のナビゲーターだ。
右下:ひまわり村近くにあるメタセコイア並木。付近は、季節ごとの花や景観が楽しめる。



Access guide



Access guide

今回はモダンクラシックをテーマに金沢の「伝統」と「いま」に出会う旅を計画。金沢21世紀美術館や尾山神社、金沢の気鋭グルメなどを巡った。金沢城公園周辺に観光スポットが点在し、古い町家を改装した飲食店などは、ひがし茶屋街に多い。なお、茶屋街は、日中車両通行禁止となるから注意。歩いて散策するのがベター。






1 鏑木商舗 かぶらきしょうほ



鏑木商舗

独自の表現を追い求める金沢工芸
長町武家屋敷跡にある鏑木商舗は、文政5年創業の九谷焼最初の商家。写真の錦皿は3代目仲田錦玉による作品。「九谷の価値を世界に」という当主の意思から、九谷ワイングラスなどの伝統を踏まえた革新的作品も展開。
9:00~22:00(日曜・月曜・祝日は18:00まで)/不定休/石川県金沢市長町1-3-16/ ☎︎076-221-6666






2 俵屋 たわらや



俵屋

これぞ自然の甘み!
米と大麦のみから作られる「じろあめ」は、天保元年に創業した金沢で最も古いあめ屋、「俵屋」オリジナルの柔らかいあめ。元は江戸時代後期に起きた天保の大飢饉の時、生まれたばかりの子供の母乳代わりに作られたのが始まりで、優しい甘みが特徴。
9:00~18:00/不定休/石川県金沢市小橋町2-4/☎076-252-2079






3 蕎味 櫂 きょうみ かい



蕎味 櫂

町家で堪能する極上の蕎麦懐石
福井在来種を石臼で挽いた二八蕎麦、先付、八寸盛り合わせ、蕎麦がき、天ぷらなどの蕎麦懐石をランチでいただいた。野趣でありながらも上品な味はもとより、店主の田尻淳さんがセレクトした器や野々市市の家具職人にオーダーしたテーブルなど、素敵な店内も魅力に溢れている。
昼12:00~、夜18:00~/日曜・第1月曜定休/石川県金沢市東山1-23-10/☎076-252-8008






4 法師 ほうし



法師

日本屈指の古参旅館で癒される
宿泊は金沢市から金沢バイパス(国道8号)で越境。小松市の粟津温泉にある718年創業の「法師」に宿泊。日本庭園を囲むように4つの宿泊棟が建てられ、有形登録文化財に登録される総檜の御殿造り「延命閣」など、歴史的建造物に宿泊することもできる。宿泊は敢えて金沢市から離れることで、ゆったりとした時間を過ごすことができた。
石川県小松市粟津町ワ46/☎0761-65-1111






5 流寓 LUGU るぐう



流寓 LUGU

新進気鋭の金沢フレンチ
浅草のフレンチレストラン「オマージュ」で修行した伊藤篤史さんが料理長を務める「流寓」。前菜は加賀野菜のヘタ紫なす、アワビ、アジを使った「ヘタ紫なすのファルシ」。フレンチでありながら和食の要素も取り入れた、味も見た目にも楽しいディナーをいただいた。カフェランチも営業。
懐石コースは昼、夜ともに完全予約制/水曜+月1日不定休/石川県主計町2-10/☎080-3249-9012





●リポート=西川淳 ●フォト=郡 大二郎 ●アートディレクション/デザイン=Mo-Green ●取材協力=尾山神社、金沢21世紀美術館
ル・ボラン10月号より転載