THE VOLVO
LIFE JOURNAL

インゲラさんののりものえほん くる くる くるま 2021/05/06

スウェーデンのアーティスト、インゲラ・アリアニウスさんのカラフルな車の絵本!
ユーモアあふれる絵本が、どんな風に生まれていったのか、創作の裏話をお聞きしました。
presented by MOE

ボルボが提案する、北欧の素敵な暮らし

あなたも北欧の美しさを生活に取り入れてみませんか



インゲラさんの多くのグッズを出しているスウェーデンの会社、OMMデザイン。マグカップや動物のマトリョーシカ、お弁当箱、ティーセットなど、どれもカラフルでかわいい。



スウェーデンのアーティスト、インゲラ・アリアニウスさんのカラフルな車の絵本!

カラフルでちょっぴりレトロなイラストが人気のアーティスト、インゲラ・アリアニウスさん。
スウェーデンのストックホルムで活動するインゲラさんが、日本の子どもたちのために描いた「車の絵本」が出版されました。
ユーモアあふれる絵本が、どんな風に生まれていったのか、創作の裏話をお聞きしました。



Ingela P Arrhenius

1967年オランダ生まれ。イラストレーター、デザイナーとしてスウェーデン・ストックホルムを拠点に活躍。広告会社の仕事を経て、1992年からフリーランスのイラストレーターになる。日本でも子ども用食器や家具、おもちゃ、絵本などが愛されている。主な絵本に「ちいさなとびだしえほん」シリーズ(大日本絵画)、「フェルトをめくると…」シリーズ(岩崎書店)など。



仕事をはじめるとぱっと絵が浮かびます

カラフルで楽しいイラストが、おもちゃや家具、ゲームや絵本として愛されているインゲラ・アリアニウスさん。MOEとのコラボレーションから生まれた絵本 『くる くる くるま』でも、インゲラさんらしい遊び心や楽しいアイディアが、すみずみにまで表現されています。創作していて楽しかったこと、苦労したことなど裏話をお聞きしました。

― 『くる くる くるま』は何で描かれていますか?

紙と鉛筆だけです。そして着色はコンピュータでしています。

― どのように描いていくのですか?



まずスケッチからはじめます。頭に閃いた絵を紙に鉛筆で描いていきます。絵の細かい要素が多いほど、このスケッチが重要になってきます。特に背景が複雑な、犬の家族が湖畔でピクニックをする場面などは、全体をよく考えながら構図を固めます。

鉛筆で描くのは、指を使って擦るなど細かなニュアンスが出せるから。細部をコンピュータのマウスで表現するのは難しいので、手描きが一番です。下絵ができたら、コンピュータに取り込み、着色します。

鉛筆で微妙なニュアンスのある線を描いた下描き。



― 絵のアイディアを思いつくのは、どんなときですか?

私の場合、仕事をはじめるとすぐにパッと絵が頭に浮かびます。ですので、アイディアを引き出そうとか、どうしようと迷ったりすることはあまりないのです。そして、たいていの場合、最初のイメージと最後にできあがった絵は、ほぼ同じになります。






『インゲラさんの のりものえほん くる くる くるま』

『インゲラさんの のりものえほん くる くる くるま』
(インゲラ・アリアニウス 白泉社 1210円)

インゲラカラーの楽しいアイスクリームワゴンやバス、トラックなどいろいろな動物が車に乗って登場。ページをめくると、中に何を積んでどんなことをしているかがわかるしくみ。巻末に親子で楽しめるクイズつき。








最初にやってきたのは、くまのアイスクリームやさん。中にはアイスクリームの機械や、おいしそうなトッピングが並んでいる。



釣り竿を積んで、これからおでかけしようとしている家族は? いぬの家族が、たくさんのおもちゃを積んでピクニックに出発!



バスにはたくさんの動物が、それぞれの持ち物を持って乗っている。



― 車がテーマの絵本ですが、ご自身はどんな風に車を楽しんでいますか?

スウェーデンの多くの人がそうしているように、夏になると車にたくさんのものを積んで、家族と夏のコテージへ出かけました。その村には子どもたちが水遊びを楽しめる気持ちよい場所があって、私たちはいつも車にトランプやコーヒー、ジュース、ケーキなどをたっぷり積みこんでコテージへ行き、素敵な時間を過ごしました。



左:「スケッチでは簡潔さをきわめたい」というインゲラさん。
中:鉛筆で描いた絵をコンピュータにとりこみ、彩色をするインゲラさん。
右:鉛筆を巧みに使いながら、インゲラスタイルの線ができあがっていく。



― 絵本にはスウェーデンらしくピクニックに行く場面が出てきます。どんなピクニックの思い出がありますか?

ピクニックというと、すぐに思い浮かぶ思い出があります。スウェーデンでは、20歳、30歳〜と切りのよい年のお誕生日に、特別なお祝いをする風習があります。50歳のとき、友人たちが郊外のお城の庭へピクニックに連れていってくれました。シャンパンを飲み、おいしい食事を食べて楽しく過ごしました。友だちがサプライズで私の絵の動物をお面にしてきてくれ、それをつけて走りまわり記念写真を撮りました。



アトリエにはスカンジナビア各国をはじめ、イギリスやフランスなどから依頼されたおもちゃや家具、絵本が並ぶ。



― スウェーデンでの暮らしが仕事に影響していることはありますか?

私は1950年代のポスターなどのレトロな色に影響を受けながら、エレガントで遊び心のある自分のスタイルをつくりました。たとえ他の場所に住んでいたとしても、やはり心惹かれていたでしょう。スウェーデンにいることで、そこにスカンジナビア的タッチを添えているのだと思います。1年の半分近くが日照時間の短い、寒い季節ですので、屋内にこもって絵を描くのが楽しみでもあります。つい働きアリになってしまうこともありますが。

― 今回の絵本のきっかけは、スウェーデンでインゲラさんを取材した際、「車にたくさんのものを積んで夏のコテージに行ったお話」をお聞きしたことでした。そこから今回の創作へとつながり、絵本が出版されましたが、実際に創作していかがでしたか?

とても楽しかったです。もともと私自身、アイスクリームワゴンや消防車の絵を描くのがとても好きなので、絵本のアイディアがどんどん出てきました。私は絵本について常々、「どんな時代も、どこの国のどんな子どもたちも、みんなが好き」というモチーフを描きたいと考えています。また、海外の仕事にチャレンジすることはとてもエキサイティングでした。絵本の考え方やプロセスは、国によって違うので、いつも学びがあります。



アトリエの壁は、展覧会用のセラミックに着色したアートなどが飾られていておしゃれ。






インゲラさんの雑貨など北欧の美しいデザイン雑貨を集めたショップ



インゲラさんデザインのメラミン食器や子ども服をはじめ、スウェーデン、フィンランド、デンマークの美しい雑貨や家具などを扱うセレクトショップ。リサ・ラーソンの陶器などのアーティスト作品から日用品まで、幅広く、丁寧に選ばれたものが集まっています。



pieni-kröne ピエニ・クローネ
神奈川県鎌倉市御成町5-6 1-C
電話:0467-25-0847
営業時間:10時半~18時
休業日:水曜

kröne-hus クローネ・フス鎌倉店
神奈川県鎌倉市御成町4-40 松田ビル102
電話:0467-84-8426
営業時間:10時半~18時
休業日:水曜
www.krone-kamakura.com








通訳・コーディネート/佐藤園子 写真/インゲラ・アリアニウス(ポートレート)、明知直子(グッズ)
MOE 2021年6月号(白泉社 )を再編集しています。