VOLVO OWNER’S INTERVIEW 井上宏司先生編 2017/09/21
オーナーの医療法人 蔦会 理事長 井上宏司先生にモータージャーナリストの藤島知子さんがお話を伺いました
クルマには、通常のラインナップとは違う「限定仕様」が存在します。
所有する喜びをさらに高めてくれるスペシャルな1台。

今回は高級皮革ブランドとコラボした『ボルボ S90ロイヤル エルメス』にお乗りの医療法人 蔦会 理事長 井上宏司先生にお話を伺いました。インタビュアーは、自動車専門誌を始め、テレビやラジオ、インターネットメディアなど幅広くご活躍中で、女性ならではの視点による解説も人気のモータージャーナリスト藤島知子さんです。
- 藤島さん
- ボルボとは大変長いお付き合いだと伺っております。最初に所有されたボルボについてお聞かせください。
- 井上先生
- 私がはじめてボルボに乗ったのは1972年。1971年式のP1800E、真っ赤な2シーターのスポーツクーペでした。デザインをイタリアのピエトロ・フルアというデザイナーが手掛けたんですね。医者になりたての当時の私には、とても高価な買い物でした。丸くてテールフィンがあり、大きな口を開けたグリルのデザインに一目惚れでした。世界で累計48,000台も生産されたクルマです。
デザインが可愛くて、“車”というよりも、こどものおもちゃの“ブーブー”のほうが似合う、そんな一台でした。ところがこの“ブーブー”は姿形に似合わずなかなかの“じゃじゃうま”でした(笑)。低い車高で乗り込むのが一苦労。シートポジションが低いから前方視界もいまひとつで、ハンドルもブレーキペダルも重く、なおかつ左ハンドル。運転は大変でした。エアコンもないので夏は猛暑地獄でしたね。ところが不思議なもので、クセがわかってくると運転が楽しくなってきて、慣れれば掛け替えのないものになっていく感じでした。日本でほとんど同じクルマも見かけないですし、“じゃじゃうま”は私には自慢の愛車となりました。 - 藤島さん
- 他にはない個性にどんどん引き込まれていったのですね。機会があれば私も一度P1800のハンドルを握ってみたいです。
- 井上先生
- P1800 は大きなトラブルもなく快調に走っていたのですが、屋外駐車場で雨ざらしだったのでさすがに長年乗っていると塗装に艶がなくなったように思え、一念発起してボディの塗装もやり直したりして、結局13年乗り続けました。
この愛する車との最後は42才の厄年のときだったのですが、霧のかかった小雨の降る国道で目の前にオートバイが飛び出してきた。もう間に合わない、と対向車線にはみだして、かろうじてオートバイを避けたのですが、眼前にはトラックがいて・・・。一瞬のようなスローモーションのような、もう避けることはできない、ガシャーンと大音響がしました。これで終わりだ・・と遠のく意識の中に、突然一条の光が挿し、人の声が聞こえました。
愛車は無残な姿になり、当然全損事故になったのですが、私はドアを開けて普通に外に出ることができました。こうして愛車は13年の生涯を閉じ、身を挺して私の命を救ってくれました。
あとで聞いた話ですが、その頃、日本国内でボルボに乗車して死亡した例はまだ1件もなかったそうです。私が隠れた大記録を止めずにホッとしたのと同時に、高い安全性を認識させてくれた出来事でした。

- 藤島さん
- 大切なP1800Eが先生を守ってくださったのですね。ボルボは高い安全性のイメージがありましたが、先生の当時のエピソードからもそれが証明されているようです。その後「S90 ロイヤル エルメス」との出会いがありました。このクルマは素晴らしい内装が特徴だと思いますが、特別な一台に巡り合うきっかけは何だったのでしょうか。
- 井上先生
- 最初にボルボP1800を買ったのは、東京のディーラーでしたが、その後水戸に来てからは水戸のボルボディーラーにお世話になっていて、1997年9月に突然電話がかかってきました。「先生、エルメス仕様のボルボを買いませんか」と。突然の電話に「なんのことなの?」と聞きなおしましたよ(笑)。
ボルボ最後のFR駆動方式で、スウェーデン本国で生産し、そのボディをフランスに持込み、内装をエルメスが担当。最終記念限定車として日本では30台という話でした。なにしろエルメスといえば日本の女性達の間でもトップクラスのブランド。フランスまで自動車を運んで内装を行うという希少性。もちろん値引きはなし。しかし先立つものがない。「ちょっと考えさせてください」とだけ言って、電話を切りました。
命を救ってくれた一台に安全への信頼があったし、ボルボの安全性への地道な取り組みにも感じ入るものがありました。結局、「やっぱり買うことにします」と電話をして、納車は1998年の4月になるということでした。
その後ディーラーの社長から電話がかかってきました。「先生、大変だよ、今、空の上だって!」 - 藤島さん
- 空の上で何があったのでしょう?気になります。
- 井上先生
- おどけてからかっているような社長の笑顔が目に浮かんだのですが、冗談ではありませんでした。私の車は日本への納車第1号を記念して、通常は船便ですが特別に空輸を使っていただき、クリスマスプレゼントとして届けられるという粋な計らいだったのです。もっとも、自分で払うのですから、プレゼントとはいえませんがね(笑)。1997年12月24日に、ディーラーの社長直々に白手袋で運転して納車してくれました。
色も上質なオフホワイト、バーチウッドを使った内装はさすがエルメス。仕上がりは丁寧で素晴らしい手触り、座り心地でした。身体に当たる位置でシートの革素材を全て変えてあったり、エルメスの傘、銀のキーホルダー、シート地と同じ革の車検証ホルダーもセットで、所有する満足度は非常に高かったです。

- 藤島さん
- 私もエルメスはハンドバッグのイメージが強かったのですが、こんな特別仕様車があったとは驚きました。納車のエピソードはステキですね。ディーラー社長様のお人柄を感じます。
これまで気に入ったお車はずっと愛着を持たれて長年お使いのようですが、メンテナンスはどちらでされているのでしょう。 - 井上先生
- 基本的はずっとディーラー任せです。専門の場所があるなら、そちらに任せるのが安心だと思っています。これは自動車の修理やメンテナンスに限りません。たとえば、高級時計で有名なある会社では、自社以外で修理したものはもう2度と受け付けてくれないそうです。そのかわりずっと自社に任せてくれれば、企業が存続する限り、どんな古いモデルでも完璧に直してくれる。自信があるから自社で行う、というスタイルが信頼できると考えています。そういえば、私の病院で仕事に使う車もボルボの740エステートを購入しましたね。
- 藤島さん
- 仕事のクルマがボルボとはステキですね。他にもドイツ車などもお乗りになられたと伺っております。やはり独自の個性があるのが輸入車の魅力なのではないかと思いますが、数多くの輸入車がある中で、ずっとボルボに乗られている理由は、何ですか?
- 井上先生
- スウェーデンではクルマは一生に1台で充分だとされ、経済性、安全性、耐久力が重視されています。ボルボ第1号が生まれたのも、本当に実用的な自動車が求められていたからです。スウェーデンはなんといっても自然環境が厳しい国ですよね。舗装路も少なく零下30度にもなる冬には、凍結防止の塩や融雪剤も撒かれ、舗装道路だけで使う前提のクルマではすぐに使い物にならなくなったようです。
だいぶ前の話ですが、スウェーデン国内で販売されたボルボの新車に対し、5年以内であれば衝突事故の修理を全額無料で行っていたそうです。今聞くと会社としては莫大な浪費で、経営感覚を疑うような話ですが、そうして全事故例のデータを集め分析することで安全設計の貴重な資料としたわけです。また事故で持ち込まれた際にそれぞれの部品を取り出して品質評価を行って世界中から優秀な部品を選定することに繋げたのだとか。後発ながらこうした地道な努力のものに、ボルボは急速に信頼を築いていったようです。
ですから以前ボルボの平均耐用年数は21年と聞いたことがあります。現在だともっと伸びているのではないでしょうか。当然部品も長く保管して、年式の古いクルマでもしっかりメンテナンスをしてくれる。
前置きが長くなりましたが、ボルボを選ぶのはそういった総合的な安心感や信頼感が理由です。また乗っていて疲れないですし飽きないですね。もう1台の、買って5年ほど経ったS80も革のシートにベンチレーションシステムがついていてとても快適で気に入っています。

- 藤島さん
- 最近のボルボは、装備も充実して非常に快適ですね。
- 井上先生
- 新しいクルマは快適な装備や先進機能が魅力ですね。ですから最新の車種も試してみたいと思っています。新しい90シリーズのデザインも惹かれます。ボルボの一貫した安全への取り組みはさらに進化しているように感じています。
ただ私は古いモノを使い続けたいタイプで、マニュアル車でも不便を感じないですし、クルマにナビが付いていなくても平気なんです。自分の意志が通じるといいますか、愛着を感じているものを使いたい。買ったクルマはみんな大切に長く乗っていますね。こうして安心できるメンテナンスの拠点ができたので、ボルボとはますます長いお付き合いになるのではないかと考えています。この施設を維持するのも大変かと思いますが、これからも頑張って続けて欲しいですね。 - 藤島さん
- 本日はありがとうございました。これからも充実したボルボライフを楽しんでください。


藤島知子
自動車関係のキャンペーンガールを経て、レースドライバーとしてモータースポーツの世界へ。これまで毎年何らかの自動車レースに参加。レース活動をきっかけに2002年より執筆活動を開始。レース活動で培われたドライブテクニックと、女性ならではの視点でモータージャーナリストとして活躍中。日本自動車ジャーナリスト協会 会員
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