THE VOLVO
LIFE JOURNAL

EDA YUUKA × VOLVO C40 2022/12/08

NEW CHALLENGE with VOLVO vol.7 枝優花



2030年までに発売する全てのクルマをEV化する。そんな目標をいち早く表明し、常に挑戦をし続けるボルボ。 今回、ボルボ初のEV専用車となるボルボC40のハンドルを握るのは映画監督として活躍する枝優花。 多くの映像作品を生み出す彼女はC40を運転し何を感じるのか。じっくりと話を聞いた



枝優花

1994年生まれ。群馬県出身。初の長編映画「少女邂逅」が異例のヒットを記録し、一躍有名に。現在は、映画だけでなくMV やテレビドラマなど多方面で活躍している。また、写真家としての顔も持ち、マルチに活躍を続ける新進気鋭のクリエイター



枝監督が考えるC40のCMはキャラクター化したクレイアニメ





―初めての電気自動車に乗られたわけですが、率直な感想を教えてください。



実家で乗っているクルマは電気自動車ではないので、乗っている時に振動を感じるのがクルマのイメージだったんですけど、C40は普通の椅子に座っている感じというか。音も静かですし、とても新鮮でした。


―さまざまな安全装備が備わっているので、運転中も安心できたのでは?



走行車線や車間距離のキープを自動でやってくれるというサポートがあるので、ハンドルを握っていてホッとする部分がありましたね。こういう装備のあるクルマに乗りたいなって思いました。


―映像監督としてお仕事をされているから、運転中も車窓の景色が気になったりするのでは?



クルマに乗っている時は職業柄、あまり運転せず、基本的にずっと外を見ているタイプなので、外の景色は気になる方だと思います。


―ぜひ電気自動車のロードムービーを撮ってみてほしいです。



まだ電気自動車って特殊なイメージがあるけど、乗ってみると特に特殊ではないんですよね。そういうイメージがもっと定着すればいいなと思います。私自身も勝手に〝クルマだけどクルマじゃない〞みたいな歪なイメージがあったけど、全く普通だったので。電気自動車のCMも少し特殊な感じがしませんか?


―そうですね。ガソリン車と異なるのは、モーターを使っているので静かで、アクセルがオンになるとガソリン車に比べてパワーが素早く立ち上がるんですよ。



普段CMを観ていてもそういうことを知るところまで辿り着けないから、もったいないなと思いますね。


―なるほど。ちなみにその他のこだわりではC40は内装をレザーフリー化していて本革を使わず、同等の質感を持つ代替素材を使用しています。こういう考えはヨーロッパでは主流になりつつあるけれど、日本ではまだまだ浸透していません。



それはすごくいいですね。あの高級感のあるシートがレザーフリーだなんて本当に素晴らしいですが、日本に浸透しないのもわかります。海外の映画祭のあり方を見ると、環境問題以外でも、新しい価値観や「こうしていこう」という考えに至るまでが日本はすごく遅れていると思うんです。でも若い人たちはそういう価値観に対して抵抗もなければ、むしろ積極的に進めていこうという気持ちがあるから、これからどんどん考えが変化していくんじゃないでしょうか。


―もしC40のCMを作るとしたらどんな映像を生み出しますか?



そうですね。クレイアニメのような感じで、C のキャラクターを作って。C を全く新しい生き物として三分のアニメーションにするとか。やっぱり電気自動車の特徴ってもらうためには、キャラクター化して親近感を持ってもらうところからがスタートかなと。どこか電気というと愛着が湧きづらいイメージもあったりするので。


私が救いたいのは心 今後も作品を撮り続ける





―クレイアニメですか! いいですね。現在は監督として活躍する枝さんですが、幼少期は映画監督になるつもりはなかったんですよね。



そうなんです。まず地元が群馬ということもありこういう世界とは縁がないと思っていたんですね。でも何かやりたいと思っていた時にたまたま東京から演技の先生が来られることがあって。そのワークショップに自分のお小遣いで通い始めました。ただ、役者になりたかった訳ではなく、何かのきっかけになればと。


―なるほど。実際にやられてみていかがでしたか。



やってみて思ったのは、自分はお芝居が好きなわけじゃなくて、観ている方が好きだということ。むしろ裏方が向いているのかなと。だから配給会社に勤めるとか、すごく漠然とした感じでした。それこそ現場で仕事をするとも思ってないですし、映画監督になるなんて一ミリも思ってなかった。映画監督はおじさんのイメージしかなかったですから(笑)。女性が映画監督になれるなんて当時は思ってもいなかったです。


―その後、大学の映画サークルに入られるわけですね?



それでも映画には関わりたくて、とにかく東京に行かなきゃと思いました。東京に出る前に早稲田の映画サークルがクオリティの高いものを作っていると聞いたのですが、早稲田って公式の映画サークルだけで八つくらいあって、所属が全部で五百人ぐらい、それぞれのサークルで色も違うんですけど、私はその中で、絵を綺麗に撮る、一番スタンダードなサークルに入りましたね。


―そんな映画サークルで映画監督人生を左右するアクシデントに見舞われたとのことですが。



そうなんです。ロケ地もキャストも決まって、私はただのスタッフとして参加していた作品。その撮影の一週間前に監督をやりたいと言っていた方が失踪しちゃって。誰も監督をやりたがらないので、私が「やります」って手を挙げたんです。だから私は映画を撮りたくて、監督になりたくてこの世界を目指してここまで来たわけではないんですよね。ひょんなことからここまで来てしまったという感じです。


―初監督作品の手応えはどうでしたか。



自分では粗ばかり見えてしまうので、人に観せるのが嫌でした。それこそ当時は自分の不甲斐なさばかりに目が行ってしまったし。でも出来上がったものを観た先輩や同級生は、自分が気にしていたところは一切観ていなくて、逆に自分が気づいていなかったところに対して「ここが良かったよ」とか、「ここはこうなの?」と話してくれた。作品って自分の手を離れると人のものになって、そこでコミュニケーションするのが面白いなと思ったんです。作品を通して自分を理解してもらうことが面白かったので、それをもっとやっていきたいという思いが今の自分の中でも続いていますね。


―アクシデントではあったけれど、いいキッカケになったのですね。また枝さんの活動の中で気になるのは小学生に向けてのワークショップもやられている点です。



もう十年続けています。実は最初は自分のために始めたことなんですよね。芝居って、常に触れていないと鈍ってしまうんです。あと子供たちは嘘がつけないから、対峙すると自分の状態がよくわかるんです。でも、ここ一年くらいで急にいろんなものと向き合うようになって、この十年間がとても大事だったんだなと思いました。人間がいかに繊細でいかに複雑に出来ているのか、子供を見ることで学びました。監督は技術的なこともわかっていないといけないけれど、同時に人間のことも知らないといけないと思うから。


―SNSを駆使して、いろんな人と対話をし、悩み相談をしながら意見を聞くというのは「今」だからこそできることですね。



そうですね。リアルで何に悩んでいるのか、人が何に傷ついているのか、よくわかるんです。企画会議の時にもすごく役に立ちますね。


―その集大成が作品に昇華されるのですね。以前おっしゃっていた「映画は世界を救うと本気で信じている」という言葉も素晴らしいです。



もしかしたら政治家になる方が早いのかもしれないですけど(笑)。でも、私が救いたいのは心だから。それなら映画を撮り続けるのがいいかなって思います。


―そこは変わらず突き通してくださいね。最後にボルボは2030年までに全車をEV化するという大きな挑戦を表明しています。枝さんはその年までに実現したいことはありますか?



こんなに映像のことを話していますが、自分がつまらなくなったら辞めようと思っているんです。だからこそ「これを撮って死ぬ」という気持ちでやっています。でも、2030年も変わらず映画監督を続けていると思います。


PHOTOGRAPHY: OTSJI TAKAHIRO & HAIR & MAKE-UP: TERASAWA RUMI TEXT: SASATANI SHUNSUKE